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公正証書遺言のつくり方

公正証書遺言とは、公証人が遺言者本人と相談した内容を文章にまとめて作成する遺言です。

●メリット

公証人は、元裁判官などの長年法律に携わってきた専門家です。
遺言者自身が作成する自筆証書遺言秘密証書遺言と比べ、形式面で無効となる心配がなく、法律的に正しい内容になることが期待できます。

また、原本が公証役場に保存されるので、簡単に存在を確認でき、紛失や偽造のおそれがありません。

そのため、最も確実に遺言者の意思を残すことができる遺言の方式といえます。

さらに、公正証書遺言は「検認」という手続が不要なので、相続人にかかる負担も少なくなります。(→検認については次回!)

自筆の必要がなく、公証人に出向いてもらうこともできるため、体力の弱った人でも利用できる方式です。

●デメリット

一方で、公正証書遺言には、時間や手間、費用がかかります。

まず、公証人との打ち合わせや書類の用意といった事前の準備が必要です。

また、作成時には、2人以上の人に証人として立ち会ってもらう必要があります。(この証人には遺言の内容を知られることになりますが、弁護士などの専門家を証人にすれば職務上の守秘義務が課されます。)

作成費用は、相続人一人ごとに、相続させる財産の価格に応じて所定の公証役場の手数料等がかかります。
例えば、200万ずつ二人の子供に相続させる場合、それぞれ7,000円の手数料がかかります。さらに遺言加算というものが11,000円かかり、合計25,000円が必要です。

これら一連の手続には、2~3週間あるいはそれ以上要することもあります。

●記載すべき内容

誰に、どの財産を、どれだけ相続させるのかを指定します。

遺産の一部についてのみ指定することや、相続分や遺産分割方だけを指定することもできますが、後の相続トラブルを避けるためには、全ての財産について記載することが望ましいといえます。

また、相続人の排除や、遺贈や寄付、祭祀承継者の指定など、遺言に含められる内容は多岐にわたります。

遺言内容を実行する遺言執行者を指定しておけば、相続開始後の手続がスムーズになります。

ただし、一定の相続人には遺留分(遺産から確保できる最低相続分)が認められており、遺言の内容が遺留分を侵害すると、後に相続人間で争いになる可能性があるため、配慮が必要です。

●ペットに財産を残すには?

ご自身が亡くなった後のペットの心配をされる方がいらっしゃいますが、日本の法律では、ペットに財産を相続させることはできません。

そこで、ペットの世話をしてくれる人に対して負担付遺贈または負担付死因贈与をする(ペットの世話を条件として飼育に必要な費用と謝礼金を贈与する)方法や、遺言信託(※法律上の信託は金融機関の「○○信託」という名称の商品とは異なります)によってペットの為に遺産の管理方法を定める方法が選択されています。