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火災で電車が止まったときの損害賠償責任は? | 弁護士法人ナビアス
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火災で電車が止まったときの損害賠償責任は?

1月3日にJR有楽町駅で発生した火災では、西から東まで沢山の方が立ち往生になって大変だったようですね。

報道によると、警視庁の現場検証では「パチンコ店の通路に置かれた水槽の電気配線がショートして」おり、この場所を火元とみて調べているとのことです。仮にこれが出火原因だとすると、失火者はどのような損害賠償責任を負うのでしょうか。

●失火責任法

「失火責任法」という法律があり、失火者は重過失の場合を除き不法行為に基づく損害賠償責任を負わないとされています。

日本は木造住宅が多く失火による損害が膨大になり得るという理由で、明治時代にできた法律です。

したがって、失火者が故意または重過失の場合は、不法行為責任を負いますが、単純な過失の場合は不法行為責任を負わないことになります(故意の場合はそもそも失火とは言えませんが)。

今後、電気配線がショートした原因を詳しく調査した結果、失火者に重過失があるのか単なる過失なのかが民事上の責任の有無を決することになります。

●損害賠償の範囲

「新幹線が止まったことで商談に間に合わず、莫大な損失が生じた!どうしてくれるんだ!」「新幹線が止まって、余計な宿泊費が生じた!どうしてくれるんだ!」

仮に失火者が責任を負う場合、このような乗客に生じた損害まで責任を負うのでしょうか?

損害は通常損害と特別損害に分類されます。

通常損害とは、通常予見される範囲の損害です。たとえば、火事を起こせば隣の建物が延焼することは通常予想されるので通常損害として、賠償義務の範疇に入ってきます。

これに対して特別損害とは、通常予見される範囲を超えた損害です。特別損害については、加害者が特別損害が生じうる事情を知っていた場合に限り、損害賠償の範囲に含まれます。

駅に隣接する店舗の火災の発生によって電車が止まり、鉄道会社に代替輸送費用等の損害が発生した場合、これが通常損害ないしは特別損害になり得るのかどうかは、争いになり得るところだと思います。

これに対して、電車が止まったことで乗客に発生した損害については、よほど特別な事情がないと、賠償しろというのは難しいように思います。

風が吹けば桶屋が…ではありませんが、「重過失が無ければ火事は起きなかった」「火事がなければ電車は止まらなかった」「電車が止まらなければ商談に遅れることもなかった」「商談に遅れなければ逸失利益は生じなかった」と、損害の範囲は無限に広がっていってしまいます。

法律上は、そのうち一定の範囲の損害だけ(相当因果関係がある損害、と呼ばれます)だけが賠償の対象となるのです。